第8回 2013.11/30 (土) at 新大阪
参加:27名
テーマ:橋づくし
今回は話題全てが【橋】。若手の加藤氏からは大阪市主催コンペで優勝した歩行者デッキの設計報告、橋梁デザインに携わって二十数年、その道のリーダーである高楊氏からはその半生記を、そして日本を代表する橋梁エンジニアの春日氏からは最新の技術開発成果であるバタフライウェヴ橋の開発物語とアジアへ進出する準備が整いつつある話を伺いました。
議事メモ
1)阿倍野歩道橋の設計 by 加藤慎吾氏(CFK)
若手技術者の加藤さんから、コンペ当選後の建築家との共同設計の経緯について話を伺う。苦労も多かったが、多くのものを学んだ様子が垣間見えて微笑ましい。
2)橋のデザインとともに歩んだ半生記 by 高楊裕幸氏(NE)
二十代半ば頃から関わってきた橋のデザインについて、その頃から現在に至るまでの作品について、60分にわたって解説。基本はフェイシアラインを通すこと、橋台周りを整理整頓すること、付属物は常識的エチケットを持って納めること、95%の一般的な橋と5%の特別な橋について、別々のアプローチをとること、などを締めくくりとして訴えた。聴講者は、高楊氏の熱意に大いに魅せられた。
3)バタフライウェブ橋の開発 by 春日昭夫氏(SMCON)
小田原ブルーウェイブリッジから始まった「新技術開発」人生。波形鋼板ウェブ、鋼管トラスウェブ、を用いた複合構造から、高度な製作技術を必要とせず(安価)、部材重量も軽い(驚異の施工スピード実現)、バタフライウェブ開発にいたる開発動機の話。開発成功とほぼ同時期にめぐりあった田久保川橋への全面適用という幸運。その後、多くの橋に展開している現状。そして、ラジアルタイヤに使われているため、どこでも入手可能な鋼繊維を用いるコンクリートによって、アジアに展開していくお話。など、判りやすく刺激に満ちたお話を伺いました。最後に、まだまだやりたいことリストが並んでいると、にやりと笑って仰っていたのも印象に残りました。
PS
毎回、サロンの輪を広げるべく、新規の参加者を募っておりますので、
初めての方でも、お気軽に参加下さることをお待ちしております。
■第6回 2013.6.9(日) at 新大阪
参加者:37名
テーマ:時には「まちづくり」についても考えよう
今回は下記の3演題。いつもと同じく、おおよそ20分発表、40分質疑応答意見交換、といった感じで進みました。
議事概要+時々感想
1)「有能な行政職員はどんな人?~まちづくりの観点から~」by 松村暢彦(大阪大学)
◆主題は、まちづくりの現場で必要とされるものは、人と人と繋ぐ力。今の行政職員にそれが十分備わっているのだろうか?という問題提起。
◆役所内の協議の場では生気がなかった人が、現場に出た途端、活き活きとして、ワークショップを開催する際の地元周りの手配やら、キーパーソンへの引き合わせやら、こなすのを見て、改めてソーシャル・キャピタルについて考えてみた。
◆演者自身が種々の場面で知り得た近畿圏の行政職員を通じて、その職員の周囲の方々も巻き込んでアンケートを実施した。その範囲では7割近い職員は狭いパーソナルネットワークしか持ち得ておらず、少々ショックを受けた。
◆翻って、まちづくりの議論が進む場合を考えると、人と人をつなげるキーパーソンが必ず存在する。
◆そのような人と人のつながりをソシオグラムとして表現したり、種々の数学的手法で分析すること、いわゆるビッグデータを扱う研究が盛んに行われていて、人と人のつながりを科学する分野は今ホットである。
◆それはそれとして、個と個の信頼がベースなので、実務者の私は、ともかく考えて悩んでいる時間があれば、さっさと「ネットワークを作っとけ」ということだなと勝手に理解した。
◆その後の議論では、実際の現場ではまちづくりのムーブメントを動かすキーパーソンと、意思決定者が異なることがほとんどで、実務者としていつも気を使うというコメントが出てきた。その二重構造ぶりは日本社会のありようを端的に表しているようで、どのような単位になってもそれが現れることに個人的には惹かれた。文化にまでなっているので、悪いことばかりではなかろうとも思う。責任の分散システムのメリットとデメリットをしっかり理解する必要を感じた。
◆行政マンからは、地元を知りすぎるとそれはそれでブレーキになる話や、その全く逆の話など、臨機応変ぶりが披露された。よく考えると、相手が人間なので、それはそうでしょう、となるのだけど、どうも理系頭の私達はそんなことも理屈で説明したくなるのである。が、こここそが問題かもしれない。とも思っているうちにお時間に。
2)「公共空間設計のあり方-姫路駅北駅前広場を通じて-」by 八木弘毅(日建設計シビル)
◆若手実務者の自己紹介を兼ねたお話で、スイスの広場で小さな演奏会が開かれている写真を示して、そこへの憧れを語るところから始まる。
◆姫路のプロジェクトの始まりは、当初発表した案があまりにも機能一辺倒だったため、市民団体やら商工会などが対案を世間に問い始めたのがきっかけになったとのこと。最終的には市は最初の案を撤回して、明治大学小林先生を中心に「姫路の顔づくり」を考える専門家会議を発足させて、議論を再スタートさせたのだそう。
◆ここでも、関係者同士を繋ぐキーパーソンが活躍し、姫路駅北駅前広場整備推進会議等の活性化が起きたそう。
◆ハードとしての駅前整備は現在完成に向けて工事が進んでいるが、そのプロセスで培われた人のつながりは姫路駅北駅前広場活用協議会の設立、都市再生整備推進法人指定を目指したまちづくり組織「一般社団法人ひとネットワークひめじ」の設立につながったとのこと。
◆このプロジェクトを通じて、演者は、駅広の設計といったハード整備から法制度を検討するようなソフト施策にまで幅広く関われて、非常に貴重な経験ができ勉強になったとの報告であった。
◆その後の議論では、姫路への直接のコメントではないが、日本における駅前広場の計画与件が数値的検討もないまま交通事業者の要求で決定している部分が多々有り、交通機能の面積が過大に大きくなっているとの指摘が出てきた。広場を確保するために、この部分にメスを入れて行きたいとの所信表明?があった。また、整備をして綺麗な場所を作るのはよいが、その後の活用方法などの法的枠組み・担い手などもハード整備とセットで考える必要があるとの話があった。
◆姫路の場合、駅前には大きな広場が確保されたのだが、これを利用することが、これからの課題であり、ハード整備を引き継ぐ協議会なども設立されている状況が説明された。そして、確かに広場の使い方はこれからの課題であり、市民生活を楽しむための訓練がこれから始まるかもしれないとの印象が交換された。
◆行政マンからは、アダプト制度導入その後の様子として、街の清掃活動などにおいては、行政はゴミ袋を支給するだけ、市民はそれを受け取るだけ、といったマンネリ感も出てきている状況が紹介された。何事も「哲学の引継ぎ」が課題との印象を会場の皆さんは共有した次第。
◆まちづくりは、ハード整備の出来具合だけでなく、それを使いこなす側の継続性もとても重要であるとの認識は、会場では当然のように議論された。駅前開発の意味の捉え方は、随分と進化していることを実感。こうして、市民社会というものが、時間をかけつつ前に進むのだろうとの印象を持った。
3)「住民参加による近代化遺産の利活用方策の検討」by 高木宏二(パシフィックコンサルタンツ)
◆近代化遺産の仕事の面白さは、構造物の持つ凄さを市民に伝えることで、愛着を持ってもらえるという点で、土木技術者としても誇らしいものである。が、業務としては、めったにないものですね。として話は始まり、演者が関わった3つの事例が紹介された。
◆南郷洗堰の保全では、古老に話を聞く、紙芝居をつくる、堰の開閉労働の追体験、船から眺めたり、堤防からのベストな視点場に額縁っぽいボックスをおく現代美術的なオブジェの製作、カフェの開設、などありとあらゆることを実行した。
◆古老のはなしでは、洗堰のことを「ぴーあ」(ピア橋脚)と呼ばれていたりしたことなど、生活に密着した話が聞け、これらは、逆に我々が市民に洗堰を解説する際に披露すると、とても関心を持たれるので、重宝した話など、面白く聞かせていただいた。
◆神戸の湊川隧道の保全では、職を賭して知事に掛け合ったという職員の話が印象的だった。トンネルに使われたレンガが岸和田や貝塚といった近畿圏のものであることも判明し、当時の流通が舟運主体だった様子も伺えて興味深く聞き入った。
◆奈良の五新線の保全では、伝建地区との連携や、鉄道ファンを引き込む作戦など、観光との連携を考えながら実施しているとのこと。また、地元の人にも保全に反対する人がおり、事業として保全を進めていく難しさも披露された。
◆土木遺産に限らず、土木構造物には魅力いっぱいのものが多数あるが、その価値に気がつくようなアピールをすることが足りていないのが現状でないか、との指摘もあった。土木の価値のアピールは土木関係者皆が実行すべきことであり、これからも機会あるごとに心がけて行きたい。
◆そのためにも、今ある構造物において歴史に残すべき価値が有るか否かを、ひとつひとつ調べ上げることも重要との行政マンからの表明もあった。特にこれから補修補強の追加工事が施される場面が多くなるが、知らずのうちに価値を毀損してしまうことを強く懸念しているとのことであった。
◆会場から、地元のエピソードを地元に浸透させるには、小、中学校用のプログラムを土木の方で用意することが求められるが、授業時間に合わせて45分位内に終わるように整理することがポイントとなる旨が指摘された。
以上、談論風発、頭のマッサージをして、勉強会はお開きに。...各位懇親会にて続きを楽しまれた模様。
今回も会議室の提供、2次会会場の準備に中央復建Cの皆様にお世話になりました。
ありがとうございました。
2013.06.14 掲載
■ 第5回 2012.12.15(土) at 新大阪
参加者(順不同)久保田、岡田、林、山口、烏田、松村、石岡、北野、高木(雄)、高木(宏)、武知、曳野、河原井、和田、阿久井、加藤、丹羽(懇親会)、松井
テーマ:廃墟&産業遺産!そこに美を見出し、活かす術
議事?概要+時々感想:
1)土木遺構に価値はあるか? by 岡田@近大
◆18世紀の英国、富裕層のグランドツアームーブメント。欧州大陸で目にしたギリシャやローマの遺構に感動し、自分の英国式風景庭園に「人工廃墟」=フォリーを置き始めた。しばらくして庶民もそのムーブメントに影響されていく。参考図書は「廃墟の美学:谷川 渥」。聞いていて「感化」というキーワードが妙に引っかかる。景観の理解構造にも大いに関係しそうな切口だ。面白い。
◆また、鉄道廃線シリーズ等の多くの書籍紹介をとおして、日本における廃墟への眼差しの紹介。そして、日本のワビサビに通底する美学を参照する視点の披露。現物と対面して目利きとして美を発見。言語的に価値を定義。そしてそこから創作して次の次元へ。うーん、知的興奮のアドレナリンが出まくった。
◆講演後は、エッフェル塔の影響をもろに受けている英国ブラックプールのタワーの話や、被災地の廃墟をどう考えるか、まで40分ぐらい意見交換して休憩に。
2)エムシャーランドスケープパーク留学報告 by 山口@京大
◆前回報告いただいたドイツ・ルール工業地帯跡地の斬新な再開発事例の、その地に2ヶ月ほど留学してきたとのことで、現地の様子、事業背景や関わった人々の肉声など、その報告を皆で聞きました。
◆事業立案の頃は、この地に産廃業者が入り込み、放っておくと欧州中のゴミ溜めになりかねない懸念が大きかったとのこと。そこで事業は最初から、州が投資してデザインによるイノベーションを狙ったとのこと。スローガンは、計画でなくプロジェクトを。プログラムでなく戦略を。失敗OK、チャレンジを重視。
◆最初は絵に描いた餅になるのではと気にしながらもプランを作ったが、しぶとく周りを説得しているうちに、実現していったそう。そして、最初のプロジェクト「デュイスブルクノルト景観公園」プロジェクトの成功が大きかったとのこと。最終的に大きな資金が動いたが、実態は小さく始めて大きく育ったというのが本当の所のようである。
◆プロジェクトは常に、「斬新なアイデア」「強制でなく主体を活かす」「36ある助成システムの調整」、が重視され、文化的価値や美的価値が尊ばれたとのこと。
◆IBAの補助金が機能した事が大きいが、すでに自治体によっては維持管理コストの面で懸念事項も現れてきているとのこと。
今すぐにでも、現実のプロジェクトに応用できるセミナーのような講演で興奮しました。
◆質疑もまた40分ほどみっちりやって、ドイツ人は散歩好きでそれがプロジェクトの内容にも出てますねー、とか、現地の自転車道がドイツ式の分離でなく共存タイプなのはなぜだろう?などを意見交換したりしました。そして、忘年会へと場所を移したのでした。
次回は来年の初夏あたりに、まちづくり関連の話を、松村さん@阪大、高木さん@PCKKにお願いして、無事終了。
...中央復建コンサルタンツの皆様、再びの会場設営、懇親会の手配、ありがとうございました。
集合場所:CFK本社2階会議室 14:00-18:00(勉強会のあと、懇親会へ)
■ 第4回 2012.06.23(土) at 新大阪
参加者(順不同)久保田、丹羽、林、山口、村上、亀井、烏田、石岡、北野、安藤、高山、岸本、高木(雄)、高木(宏)、井爪、河原井、瀬畑、阿久井、岡田、奈良崎(懇親会)、松井
テーマ:勉強会と懇親会を分けてみました
議事?概要:
まずは、軽く自己紹介をして、早速話題提供へ。
1)エムシャーランドスケープパークにおける地域計画と橋 by 山口@京大
ドイツ・ルール工業地帯跡地の斬新な再開発事例の紹介。10年限定の特定目的会社(社員30名、うち広報担当が半分)のような組織を立ち上げて、16の自治体の合意形成をはかりながらの、産業遺産を活かしたデザインオリエンテッドな事例。最初は小さくはじめたらしいのですが、10年で結局3000億円もの事業資金を動かしたとのこと。目から鱗が何枚も落ちました。...山口氏はこの課題をより掘り下げるためにドイツへ2ヶ月出張されるとのこと。帰国報告会しないといけませんね(笑)
2)富山大橋のデザイン 〜旧橋の面影は継承できたのか〜 by 松井@NE
関東大震災復興の際、東京市の職員として橋梁設計の大半を手がけた小池啓吉氏が、東京市を退職して富山県に移った際に手がけた富山大橋(昭和11年竣工)。その架け替えがこの3月無事完了した。新しい富山大橋のデザインにあたり、旧富山大橋の何を大切に思い、どのように新しい橋に継承しようとしたかを説明。また、当時の土木部長の立場にあった人物の見識の豊かさが本業務において、一貫してデザインを考える保証を与えていた事実についても意見交換しました。
3)取引形態とデザインビジネス by 久保田@京大
公共事業の取引形態において、市場原理が働きにくく、その社会的重要性にも関わらず、本来の顧客である施設利用者に上質なデザインが届きにくい現状を解説し、その課題解決にむけて、出来ることは何か?皆で考えようとの講義。デザインマネジメントの重要性が浮かび上がり、皆で意見交換した。これまでの「権威」をバックに統制をとっていく方法は不安定でそもそも21世紀的でなく古い考えではないか?もっとコミュニケーションを重視するやり方を模索する必要がありそうだとのあたりで、時間切れ。
4)関西橋談義の夕べの未来?
土木デザインに関心のある社会人が気軽に集える場として、今後どうして行ったら良いでしょうかね?といったあたりについて、意見交換しました。→議論はアルコール付きで、ということで懇親会へ。
...中央復建コンサルタンツの皆様、会場設営、懇親会の手配、ありがとうございました。
集合場所:CFK本社2階会議室 15:00
■ 第3回 2011.12.18(日) at 西中島南方
参加者(順不同)久保田、丹羽、岡田、林、山口、松村、木村、村上、生田、亀井、中村、烏田、松井
テーマ:少し輪を拡げてみよう!
議事?概要:
まずは自己紹介から。皆さん上手。そして、橋コンテスト出場NEチームの中村さんのプレゼンを聴き、しばし自由に歓談。のつもりがいつのまにか盛り上がって、時間超過。予定の話題を披露していただく時間が遅れてしまう。
加えて、用意していただいていた林さんの鴨川の橋の話題も面白く、プレゼン終了後も区切りが付かないまま、対話が続く。結局、用意していただいていた2題(岡田さんと山口さん)は次回へ繰り越しとなる。(お二人様、手順が悪くて失礼いたしました...)
2次会では、積み残した橋コンテスト出場CFKチームの丹羽さんからも、プロジェクター持参でのプレゼンなど、大いに楽しませてもらいました。
次回は4月以降、CFKさんの仕切りで開催する段取りに。
集合場所:遊食屋 創彩 17:00
■ 第2回 2011.07.09(土) at 京都
参加者(順不同)久保田、丹羽、黒島、岡田、林、山口、烏田、松井
テーマ:橋梁と基礎5月号「歩道橋小特集」を題材に
議事?概要:
橋梁と基礎5月号「歩道橋小特集」の原稿執筆者、久保田さん(ハイライン)、黒島さん(平和大橋歩道橋)、そして松井(歩道橋の歴史)が、それぞれのネタを披露し、それについて皆で意見交換した。
また、丹羽さんからは建設技術展近畿2010「橋コンテスト優勝」の軌跡が披露され、NE参戦の契機となった。大いに盛り上がり、秋ー冬の再開催と仮スピーカーを決めてお開き。なお、その会の前座として、黒島さん(from東京)と松井は嵐山界隈の散策(サーベイ)を楽しんでから合流。
集合場所:京すいしん 17:30
■ 第1回 2011.04.01(金) at 新大阪
参加者(順不同)久保田、丹羽、街道、松井
テーマ:まず集まってみよう。
議事?概要:
年度区切りの初っ端(4/1)は、ひょっとしたら空白の一日で予定があけられるかも知れない。という感じで集まりました。広島出張帰りに立ち寄る予定(ということで新大阪)だった黒島さんは三重の協議が入り、残念ながら欠席となったものの、4名が無事集合。記念すべき?、第一回が成立。
互いの仕事の近況などを交換したのだろうけど、何を話したのだか、今(2011.12.18)となってはよく覚えていない。関西は「景観不毛の地」と東の方から揶揄されているので、老若男女、特に若手が集まれる機会をつくって、関西を盛り上げていこうよ、と意気投合したように記憶している。3時過ぎまで飲んだので、記憶が発散して...
集合場所:
手作り居酒屋 甘太郎新大阪ソーラ21店 19:00